よくある質問

FAQ

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当事務所によく寄せられるご質問を、こちらのページにまとめました。初めてご利用いただく方や、手続きに不安をお持ちの方にとって参考になれば幸いです。

「Q」の行をクリックまたはタップしていただくと、回答が表示されますので、ぜひご利用ください。

なお、こちらに記載のないご質問や、さらに詳しいご相談が必要な場合には、お電話、またはメールにてお気軽にお問い合わせください。

当事務所に関するご質問

相談だけで依頼しなくても大丈夫でしょうか?

はい、大丈夫です。以下の通り対応しております。

📌【初回無料相談】

  • 無料対応の範囲:無料相談では、許可の可能性の判断、手続きの基本的な流れ、当事務所のサービス内容・料金についてご案内いたします。また、許可が難しいケースについては、審査の傾向や改善のポイントについてもご説明可能です。
  • 依頼を検討されている方を対象としています:無料相談は、具体的に依頼を検討されている方を対象としています。
  • 有料相談のご案内:ご自身で申請を進めるための具体的なアドバイスをご希望の場合は、1時間 8,800円(税込) にて承ります。

相談の受付時間は何時までですか?

以下の時間帯でご相談を受け付けております。

  • メール受付:24時間対応(土日・祝日は受付のみ、返信は営業日に順次対応)
  • 電話受付:平日 10:00~19:00(折り返し対応可)
  • オンラインまたは対面相談:平日19:00以降・土日祝日も対応

※ メールの返信は通常 1~2営業日以内 に対応いたしますが、内容によっては 2~3営業日 ほどお時間をいただく場合がございます。

無料の相談でも必要な提出書類が何かを教えてもらえますか?

申し訳ございませんが、無料相談 では以下の内容に限らせていただいております。

  • 許可の可能性の判断
  • 手続きの基本的な流れのご案内
  • 当事務所のサービス内容・料金のご説明

具体的な手続きに関するご相談(例:必要書類のリストアップ、申請書類のチェック、許可取得のためのアドバイスなど)は、1時間8,800円(税込)の有料相談 にて承っております。

なお、相談時に正式にご依頼いただいた場合 は、有料相談の範囲に該当するご質問にも無料で対応 いたします。

建設業許可以外の許認可申請についての申請業務もしていますか?

はい、建設業許可のほか、産業廃棄物収集運搬業許可など、建設業に関連する周辺業務の申請手続きも承っております。また、ホームページに記載のない許認可申請についても、可能な限り対応いたしますので、お気軽にご相談ください。

支払の仕方はどのようになっていますか?また、途中で依頼をキャンセルした場合にはどうなりますか?

当事務所でのお支払い方法は、原則として申請書類が完成し、都庁への提出前に銀行振り込みでお願いしております。

途中でご依頼をキャンセルされた場合でも、特に悪質と判断されるケースを除き、原則として料金の請求は行いません。また、最終的に不許可となってしまった場合には、当事務所への報酬分は全額ご返金いたします。ただし、都庁へ申請後にお客様の都合でキャンセルされた場合は、返金の対象外となりますので、あらかじめご了承ください。

建設業許可に関する一般的なご質問

建設業許可には「一般建設業許可」と「特定建設業許可」とがあるようですが、何がどう違うのでしょうか。

特定建設業許可は、元請け業者として一定規模以上の工事を請け負う場合に必要となる許可です。具体的には、発注者から直接工事を請け負い、一次下請け業者との下請契約金額の合計が税込みで4,500万円以上(建築一式工事の場合は7,000万円以上)となる場合に必要になります。

このような大規模な工事では、多くの人員が関与し、元請け業者の経済的事情による工事の中断や中止が社会や経済に与える影響も大きくなるため、特定建設業許可には、他の建設業許可よりも厳しい条件が課されています。これは、大規模な工事を元請けとして遂行する業者に対し、より高い信頼性や責任を求めるためです。

なお、特定建設業許可は一般建設業許可の特別な形態とみなされるため、同一の業種について一般建設業許可と特定建設業許可の両方を同時に取得することはできません。

建設業許可には「知事許可」と「大臣許可」とがあるようですが、何が違うのですか。

知事許可と大臣許可の違いは、「営業所の所在地」にあります。建設業法に基づき、1つの都道府県内にのみ営業所を置く場合には知事許可が必要です。一方、2つ以上の都道府県に営業所を置く場合は、たとえ各都道府県で許可業種が異なっていても、大臣許可が必要となります。この許可の区分は、施工現場の所在地とは関係がありません。

ここでいう営業所とは、「建設業法における営業所」を指し、建設工事に関する見積もりや請負契約などの実体的な業務を行う事務所を意味します。単なる現場事務所や連絡所は、営業所には該当しませんので注意が必要です。

また、営業所の所在地が1つの都道府県内にある場合と複数の都道府県にまたがる場合が同時に存在することはありません。そのため、知事許可と大臣許可を同時に取得することはできません。

建設業許可の類型にはどのようなものがあるのですか?

建設業許可には、「一般建設業許可」と「特定建設業許可」の分類、さらに「知事許可」と「大臣許可」の分類があります。これらの組み合わせによって、建設業許可の類型が決まります。具体的には、以下の4つのパターンが考えられます。

  • パターン1: 「大臣許可」の「特定建設業」
  • パターン2: 「大臣許可」の「一般建設業」
  • パターン3: 「知事許可」の「特定建設業」
  • パターン4: 「知事許可」の「一般建設業」

「大臣許可」は、2つ以上の都道府県に営業所を置く建設業者に必要な許可であり、「特定建設業許可」は元請けとして一定規模以上の工事を請け負う建設業者に必要な許可です。

そのため、営業所が1つの都道府県内にあり、元請けとして大規模な工事を請け負わない建設業者は、パターン4の「知事許可」の「一般建設業」に該当することが多く、これが最も一般的な許可の形態となっています。

建設業許可の申請には何種類かあるようですが、どのようなものがあるのでしょうか?

建設業許可の申請には、「新規」「許可換え新規」「般・特新規」「業種追加」「更新」の5つの区分があります。これらは一般的に「申請区分」と呼ばれ、それぞれ次のような特徴があります。

  • 新規
    現在、有効な許可をどの許可行政庁からも受けていない場合の申請です。新たに建設業許可を取得したい方が該当します。
  • 許可換え新規
    都道府県知事許可から国土交通大臣許可へ変更する場合や、営業所の移転により現在の都道府県知事許可を他の都道府県知事許可に変更する場合の申請区分です。
  • 般・特新規
    「一般建設業」の許可のみを受けている方が「特定建設業」の許可を申請する場合、または「特定建設業」の許可のみを受けている方が「一般建設業」を申請する場合に該当します。
  • 業種追加
    すでに建設業許可を持っている方が、別の業種について新たに許可を取得したい場合の申請です。
  • 更新
    建設業許可の有効期間は5年間です。この期間が満了する前に、引き続き建設業を行うために行う申請です。

これらの区分は、それぞれの状況に応じた手続きが求められますので、詳細についてはお気軽にご相談ください。

建設業許可が取得できないのはどのような場合ですか?

建設業許可は、国土交通省が定める許可要件を満たしている場合に取得できます。したがって、許可が取得できない場合は、この要件のいずれかを満たしていないケースに該当します。

例えば、以下のような状況が考えられます:

  • 経営管理者や専任技術者候補の実務経験年数が不足している場合
  • 実務経験年数を証明するための書類が揃わない場合

ただし、これらの理由で許可が取得できないと判断する前に、ぜひ一度当事務所にご相談ください。行政書士の視点から状況を丁寧に確認し、許可取得に向けて可能な限りご協力いたします。

申請から結果が出るまでどのくらい期間がかかりますか?

建設業許可の申請は、申請書類一式を窓口に提出してから、おおむね1か月程度で審査が完了します。ただし、提出した申請書類に不備や修正が必要な場合には、やり取りに時間がかかり、その分審査期間が延びる可能性があります。

建設業許可の申請手続きは、添付書類が多く、内容も非常に複雑です。許可をできるだけ早く取得するためには、専門家への相談が重要です。スムーズな申請を進めるために、ぜひ当事務所へご相談ください。

建設業許可を取得後は毎年「決算変更届」というものをしなくてはならないようですが、これはどのようなものでしょうか。

建設業許可を取得した建設業者は、個人・法人を問わず、毎年「決算変更届」を提出する義務があります。この「決算変更届」とは、建設業者の毎年度の決算内容を行政に報告するもので、東京都では「変更」という表現が使われていますが、他の都道府県では「決算報告届」と呼ばれることもあります。

決算変更届の提出期限は、事業年度終了後4か月以内と定められています。もし未提出や虚偽記載があった場合、6か月以下の懲役または100万円以下の罰金といった罰則が科されることがあります。さらに、未提出が原因で懲役刑が科された場合、欠格要件に該当し、建設業許可が取り消される可能性もあります。この場合、許可を維持するには、未提出期間中に在籍していた取締役などをすべて交代させなければなりません。

また、決算変更届を提出しないと、許可の更新や業種の追加などの行政手続きが受け付けられなくなります。重要な義務ですので、必ず期限内に提出するようご注意ください。

建設業許可取得後に一定の項目に変更が生じた場合には定められた期限内に届出をする必要があると聞いたのですが、どのような場合に届出が必要になるのでしょうか。

建設業許可を受けた業者は、許可申請時に提出した書類のうち、個人情報を除く内容が公開されています。これは、発注者が適切な建設業者を選定するための参考資料として活用されるためです。しかし、許可取得後に会社の状況が変化しても、その情報が反映されていないと正確な判断ができなくなります。そのため、建設業許可を取得した事業者には、一定の変更が生じた場合に速やかに変更届を提出する義務が課されています。

具体的には、以下のような変更があった場合に届出が必要です。

  • 経営業務の管理責任者の変更
  • 専任技術者の変更
  • 会社の履歴事項全部証明書(商業登記簿謄本)に記載された内容の変更(例:商号変更、本店所在地の変更、資本金の変更など)

これらの変更内容は法定の期限内に届け出を行う必要があります。義務を怠ると行政手続き上の不利益を被る可能性がありますので、変更が生じた場合には速やかに対応するようご注意ください。

建設業許可取得後は5年ごとに更新手続きを行う必要があるそうですが、いつから数えて5年なのでしょうか。また、決算変更届や各種届け出義務を怠っていた場合でも更新は可能ですか?

建設業許可の有効期間は、許可取得の日から数えて5年後の前日までです。したがって、許可を継続して保持するためには、この期限内に更新手続きを行う必要があります。

ただし、更新申請を行う際には、毎年提出が義務付けられている決算変更届や、許可後の変更事項に関する届出が適切に行われていることが条件となります。これらが未提出の場合、更新申請書は受け付けてもらえません。そのため、更新手続きを行う前に、未提出の書類をすべて提出する必要があります。

また、更新時には登記簿謄本の提出も求められます。この際、登記簿に記載されている情報と会社の実態に矛盾がある場合も更新申請は受理されません。このような場合は、まず司法書士に依頼して変更登記を行う必要があります。変更登記には法務局での審査期間として1~2週間程度かかる場合があるため、余裕を持って準備を進めることが重要です。さらに、変更内容が届出を要する場合には、変更登記後に届出も併せて行う必要があります。

更新手続きはスムーズに進めるためにも、日頃から必要な書類や届出を適切に管理することが大切です。

建設業許可取得後には標識を営業所や工事現場に掲示しなければいけないと聞きました。この標識はどのような大きさで、何を記載したものであることが必要なのでしょうか。

建設業許可を取得した業者は、営業所に許可票を掲示する義務があります。また、工事現場への標識掲示義務があるのは、発注者から直接工事を請け負う元請け業者に限られます。

標識の大きさについては建設業法で規定されており、以下の通りです。

  • 営業所に掲示する許可票: 縦35cm以上 × 横40cm以上
  • 工事現場に掲示する標識: 縦25cm以上 × 横35cm以上

標識には、以下の内容を記載する必要があります。

  • 会社名
  • 会社代表者の氏名
  • 現場の管理技術者
  • 一般建設業または特定建設業の別
  • 許可を受けている業種
  • 許可番号

これらの情報を公衆の見やすい場所に掲示することで、許可を受けた適正な業者によって営業や工事が行われていることを対外的に示すことが目的です。標識は、この目的を満たすように設置される必要があります。

この度、建設業許可を取得できました。今までは長年付き合いのある取引先からの下請け受注の際には特に契約書を作成していませんでしたが、今後は契約書を作成する必要があると聞きました。どういうことなのか教えてください。

建設業の請負契約は、契約金額が他の業種と比べて大きくなることが多いため、下請け受注の際に契約書を作成しないという業界特有の慣習がありました。しかし、この慣習が原因で、下請けへの代金支払いの遅延や、工事の追加指示によるトラブルが生じることがあり、それが結果的に発注者に不利益をもたらすケースもあります。

このような背景から、建設業許可を取得した業者には、工事着工前に書面で契約を締結することが義務付けられています。この契約書には、工事内容や請負代金の額など、建設業法で定められた事項を記載する必要があります。

また、契約書を作成するだけでなく、契約内容そのものについても遵守すべきルールがあります。例えば、請け負った工事を自ら施工せず、他社に一括して請け負わせる行為や、他社から工事を一括して受け負う行為は建設業法で禁止されています。

さらに、元請業者には、注文者から出来高払いや竣工払いを受けた場合、支払の対象となった工事を施工した下請業者に対して、1か月以内に相応の下請代金を支払う義務があります。このようなルールは、業界内の健全な取引を促進し、トラブルを未然に防ぐために定められています。

建設業許可の取得を考えています。許可取得後には工事現場にも専任技術者のような者を配置する義務があるとの事ですが、当社では私が経営業務の管理責任者と専任技術者を兼ねる予定なので私が現場に出ることができません。このような場合には、新たに専任技術者の条件を満たす方を募集するしかないのでしょうか。

専任技術者は営業所ごとに配置され、営業所で常勤して内勤業務を行うことが必要です。そのため、原則として現場に出ることは認められていません。一方で、主任技術者は工事現場に配置され、工程管理や品質管理を行う現場でのリーダー的存在です。このように、専任技術者と主任技術者は働く場所や仕事内容が大きく異なるため、原則として兼任はできません。

ただし、1人親方や少人数の法人では、経営業務の管理責任者が専任技術者を兼任しているケースも多く、工事の受任はできても現場での施工が難しくなる場合があります。そこで緩和措置として、以下の条件をすべて満たす場合には、専任技術者が主任技術者を兼任することが認められています。

  1. 専任技術者として配置されている営業所で契約を締結した建設工事であること。
  2. 営業所と工事現場が近い距離にあり、常時連絡を取ることが可能な環境であること。
  3. 工事の請負代金が3,500万円未満(建築一式工事の場合は7,000万円未満)であること。
  4. 多数の人が利用する建築物や工作物ではないこと。
  5. 建設業法上、専任性が要求される工事ではないこと。

これらの条件を満たす場合、新たに専任技術者を募集しなくても、兼任する形で対応できる可能性があります。一度、具体的な状況を確認しながらご検討いただくことをお勧めします。

建設業許可の申請に関するご質問

建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するとして”建設業に関し5年以上、経営業務の管理責任者としての経験を有する者”が会社に在籍している必要があるようですが、経営業務の管理責任者とはどのような人であればなることができますか?

経営業務の管理責任者とは、建設業の経営業務について実際に総合的な管理を行っている人物を指します。この役職には、業務を執行する社員や取締役、執行役、個人事業主、支配人、支店長など、営業取引上対外的に責任を有する地位(以下「役員等」)の経験が必要です。一方で、執行役員や監査役、会計参与などの役職に就いていた経験は該当しません。

具体的には、以下のような方が経営業務の管理責任者となることができます。

  • 個人事業主: 建設業を5年以上営んできた方。
  • 会社の役員等: 建設業を営む会社で、取締役や執行役として5年以上の経験を有する方。

なお、法改正前の名残から、「経管」と呼ばれることもありますが、現在の要件では実際に経営業務を執行し、その管理責任を担っていたことが重要とされています。

建設業許可を取得するためには専任技術者も各営業所に常勤する必要があるようですが、この専任技術者になるにはどのような条件を満たしている必要がありますか?

建設業の工事には、専門的な知識や経験が不可欠です。請負契約の適正な締結と履行を確保するためには、これらの知識や経験を有する従業員、つまり専任技術者が常勤することが求められます。専任技術者として認められるためには、以下の条件を満たし、その証明を客観的に行う必要があります。

  1. 国家資格の取得
    許可申請する業種に対応した国家資格を取得していることが最も一般的な証明方法です。国家資格は、国がその知識と経験を認めたものであり、これ以上ない証明となります。
  2. 実務経験の証明
    該当する国家資格を持たない場合には、申請する建設業の業種で10年以上の実務経験を有していることを証明する必要があります。この実務経験については、勤務証明書や契約書などを用いて具体的に示します。
  3. 学歴による実務経験の短縮
    大学や高校で建設業に関連する指定学科を卒業している場合、実務経験の年数が短縮される緩和措置があります。たとえば、大学卒業者は3年、専門高校卒業者は5年といった形で必要な実務経験が短縮されます。

専任技術者は、建設業許可申請において重要な要素となるため、条件を満たしているかを事前にしっかりと確認し、証明書類を適切に準備することが求められます。

建設業許可の許可要件に”誠実性”があるというのがありますが、この誠実性があるかどうかは何で判断されるのですか?

建設業は、関係する人員の多さや契約金額の大きさから、違法な契約や手抜き工事によって契約が適切に履行されない場合、社会経済に莫大な損失を与える可能性があります。そのため、建設業許可を取得する際には、会社の経営陣が工事請負契約において不正や不誠実な行為を行うリスクが低いと認められる、「誠実性」が求められます。

具体的に「誠実性」があるかどうかは、次の基準で判断されます。

  • 前科の有無: 許可申請時点で取締役などの経営陣に刑法その他の法令に基づく前科がないこと。
  • 行政処分歴の有無: 建築士法など建設関連法令に基づき、過去に免許取り消しなどの行政処分を受けたことがないこと。

これらの条件を満たしている場合、誠実性があると判断されます。この要件をクリアすることは、建設業許可を取得する上で重要な要素の一つです。

現在建設会社を経営していますが、元請けからの要請で一般建設業許可の取得を考えています。許可されるための条件の中に”財産的基礎・金銭的な信用がある”というものがありますが、どのような場合であれば財産的基礎・金銭的な信用があるといえるのでしょうか?

一般建設業許可を取得するための条件として、「財産的基礎・金銭的な信用があること」が求められます。この基準は、以下のように判断されます。

  1. 純資産合計が500万円以上
    許可申請直前の決算書において、「純資産合計」が500万円以上であることが最も一般的な条件です。これが満たされている場合、財産的基礎・金銭的信用があると判断されます。
  2. 500万円以上の資金調達能力の証明
    仮に、決算書の純資産合計が500万円未満であった場合でも、以下のいずれかを証明することで条件を満たすと判断されます。
    • 法人または個人事業主名義の金融機関口座に500万円以上の預貯金があること。
    • 担保とする不動産があり、それに基づいて金融機関から500万円以上の融資を受けられること。

これらの基準を満たしていることを、許可申請時に適切な書類を提出することで証明する必要があります。財産的基礎・金銭的信用は、建設業の安定した運営と取引先の信頼確保に直結する重要な要件ですので、事前に確認を行うことが重要です。

建設業許可の取得を考えています。許可の条件に”建設業を営むための営業所がある”という条件がありますが、どのような営業所なら建設業を営むための営業所といえるのでしょうか?

建設業法でいう「営業所」とは、請負契約の見積もりや契約の締結など、実態的な業務を行っている事務所を指します。そのため、以下のような施設は「営業所」には該当しません。

  • 事務連絡所
  • 工事事務所
  • 作業所
  • 資材置場

営業所と認められるための条件
営業所として認められるには、以下の要件を満たしている必要があります。

  1. 設備
    • 固定電話やOA機器(パソコン、プリンターなど)が備わっていること。
  2. スペース
    • 事務スペースや接客スペースが設けられていること。
  3. 外観
    • 営業所であることを示す看板などが掲示されており、外部から建設業の営業所であることが分かる状態であること。

証明方法
営業所として認められるためには、これらの要件を満たしていることを証明する必要があります。具体的には、設備やスペース、看板の写真を撮影して提出し、実態的な業務を行っていることを証明します。また、営業所としての使用権限を確認するため、賃貸契約書や所有権を示す書類を併せて提出する必要があります。

営業所は、建設業の適正な運営を支える基盤であり、許可取得の重要な要件の一つです。準備をしっかり整えたうえで申請を進めることをお勧めします。

会社の経営陣が建設業法の”欠格要件”に当てはまっていると建設業許可が取得できないと聞きました。この欠格要件とはどのようなものなのでしょうか?

建設業法における”欠格要件”とは、許可を出した場合に、その事業者が社会通念上適切に事業を行うことが期待できないと判断される条件を類型化したものです。この要件に該当する経営陣が在籍している場合、他の条件をすべて満たしていても建設業許可は取得できません。

具体的な欠格要件は以下の通りです。

  1. 許可申請内容に虚偽がある場合
    • 提出した書類に虚偽の記載が含まれている。
  2. 破産手続開始の決定を受け復権を得ていない場合
    • 法的に復権が認められるまで許可を受けることはできません。
  3. 精神機能の障害がある場合
    • 認知や判断、意思疎通が適切に行えず、建設業を営む上で必要な能力を欠いていると判断される場合。
  4. 過去に不正手段で許可を受けたことがある場合
    • 許可または認可を不正手段で受け、その許可を取り消されてから5年を経過していない場合。
  5. 刑事罰を受けた場合
    • 禁錮以上の刑を受け、その執行が終わった日または執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない場合。

これらの欠格要件に該当する経営陣がいる場合、建設業許可の申請は受理されません。また、許可取得後に欠格要件に該当した場合でも、その人物が役職を辞任しない限り、許可が取り消される可能性があります。

欠格要件は、建設業の適正な運営と社会的信頼の確保を目的とした重要な規定ですので、事前に確認し、必要に応じて適切な対応を行うことが求められます。

東京都の手引きには”欠格要件”に該当しないことを証明するために「登記されていないことの証明書」の提出が必要と記載されていますが、この証明書はどのようなものでどこで入手すれば良いのですか?

欠格要件の一つとして、「精神の機能の障害により建設業を適正に営むために必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者」が挙げられています。これは、成年後見制度を利用している成年被後見人などを指し、該当する場合には「経営業務の管理責任者としての経験を有する常勤役員等」や「専任技術者」になることができません。

成年後見制度を利用している場合、その内容(被後見人や後見人の氏名、住所、後見人の権利の範囲など)は東京法務局に登記されています。「登記されていないことの証明書」とは、この成年後見制度の後見登記等ファイルに自分の情報が登録されていないことを証明する公的な証明書です。この書類は、成年後見制度を利用していないことを示すために必要となります。

入手方法
「登記されていないことの証明書」は、全国の法務局の本局で取得可能です。ただし、支局や出張所では発行されないため注意が必要です。また、郵送での申請については東京法務局のみが対応しています。申請時には以下のものが必要です。

  • 本人確認書類(運転免許証など)
  • 申請書(法務局のホームページでダウンロード可能)
  • 発行手数料分の収入印紙

証明書は申請後、通常1週間以内に発行されますが、余裕を持って手続きを進めることをお勧めします

建設業許可で求められる発行後3カ月以内の「身分証明書」とは何ですか?免許証やマイナンバーカードの写しでは駄目なのでしょうか?

確かに「身分証明書」と聞くと、一般的には運転免許証やマイナンバーカードを思い浮かべるかもしれません。しかし、建設業許可の申請で必要とされる「身分証明書」はこれらとは全く異なる書類です。

この「身分証明書」は、本籍地を管轄する役所で発行される公的な証明書です。本籍地とは、戸籍を管理している市区町村を指します。一部の地域では「身元証明書」と呼ばれる場合もありますが、記載される内容は次の通りです。

  1. 禁治産または準禁治産の宣告を受けたままではないこと。
  2. 成年被後見人や被保佐人に該当しないこと。
  3. 破産宣告または破産手続開始決定の通知を受けていないこと。

なお、2024年3月より戸籍の広域交付が開始され、本籍地以外でも戸籍謄本を取得できるようになりましたが、「身分証明書」はこれに含まれません。そのため、引き続き本籍地を管轄する市区町村の役所で発行を依頼する必要があります。

また、広域交付は現時点では本人のみが対象であり、家族を含む代理人が申請することはできません。この点に注意し、必要な場合は早めに手続きを行うことをお勧めします

「登記されていないことの証明書」と「身分証明書」では何が違うのですか?両方とも提出が必要なのですか?

「登記されていないことの証明書」と「身分証明書」は、それぞれ異なる役所で発行される証明書であり、異なる内容を証明します。

「登記されていないことの証明書」

発行元:法務局(全国の本局、郵送は東京法務局のみ対応)
証明内容:成年後見制度に基づき、成年被後見人や被保佐人に該当していないことを証明します。
「身分証明書」

発行元:本籍地を管轄する市区町村役所
証明内容:禁治産や準禁治産の宣告を受けていないこと、破産手続き開始決定の通知を受けていないことなどを証明します。
両方の提出が必要な理由
成年後見制度は2000年4月に導入され、それ以前に存在した禁治産や準禁治産の制度が廃止されました。この移行に伴い、次のような対応が取られています。

2000年3月31日以前の証明
禁治産や準禁治産に該当しないことは、本籍地の市区町村が発行する「身分証明書」によって証明します。

2000年4月以降の証明
成年後見制度に基づき、成年被後見人や被保佐人に該当しないことは、法務局が発行する「登記されていないことの証明書」によって証明します。

このため、どちらの時点においても欠格要件に該当していないことを証明するには、「身分証明書」と「登記されていないことの証明書」の両方の提出が必要です。

会社を経営しています。「常勤役員等の確認資料」が色々とあって良くわかりません。結局何を提出すれば良いのですか?

建設業許可の申請では、常勤役員等の確認資料を提出し、以下の3点を証明する必要があります。

  1. 現在の常勤性
  2. 現在もその地位にあること
  3. 過去の実務経験

ここでは、一般的なケースを例に挙げて説明します。


1. 現在の常勤性の証明

  • 提出書類: 有効期限内の「健康保険証の写し」
    健康保険証には氏名、生年月日、事業所名が記載されている必要があります。社会保険に加入している場合、常勤であることを証明できます。

2. 現在もその地位にあることの証明

  • 提出書類: 発行日が3か月以内の「履歴事項全部証明書」
    この証明書は、法務局で取得し、役員に関する事項が記載されていることを確認してください。

3. 過去の実務経験の証明

  • 提出書類: 「履歴事項全部証明書」と「閉鎖事項証明書」
    • 「履歴事項全部証明書」には、申請日から過去3年間の情報が記載されています。
    • 建設業許可の実務経験は5年以上が必要です。そのため、3年以上前の情報については「閉鎖事項証明書」を法務局で取得し、併せて提出する必要があります。

注意事項

  • 書類の有効期限: すべての証明書は発行日が3か月以内である必要があります。
  • 追加資料: 特殊なケースや条件によっては、別途書類が求められる場合もありますので、事前に確認することをお勧めします。

これらの書類を用意することで、常勤役員等の確認資料として適切な申請が可能になります。必要に応じて専門家に相談することで、スムーズに進めることができます

建設業許可の「専任技術者についての確認資料」にはどのようなものを提出すれば良いのですか?

専任技術者として認められるためには、次の2点を客観的に証明する必要があります。

  1. 「現在まで営業所に常勤し、専任であること」の証明
  2. 「許可を受けようとする建設工事の業務について技術的な知識と経験を有すること」の証明

以下に、一般的なケースについて説明します。


1. 現在まで営業所に常勤し、専任であることの証明

  • 提出書類: 有効期限内の「健康保険証の写し」
    健康保険証には、氏名、生年月日、事業所名が記載されている必要があります。これにより、営業所に常勤していることが証明されます。

2. 建設工事の業務について技術的な知識と経験を有することの証明

  • 提出書類: 許可申請する業種に対応した以下のいずれかの書類の写し(原本提示が必要)
    • 国家資格合格証や免許証: 該当する国家資格を取得している場合に使用。
    • 監理技術者資格者証: 監理技術者である場合、合格証に代わる証明書として使用。

注意事項

  • 資格の適合性: 提出する国家資格や免許証が、申請する建設業種に対応していることを事前に確認してください。
  • 有効期限: すべての書類は、発行日または有効期限が最新のものである必要があります。
  • 補足資料: 特殊なケースや補足が必要な場合は、追加資料が求められることもありますので、事前に役所や専門家に確認することをお勧めします。

これらの書類を提出することで、専任技術者の条件を満たしていることを証明できます。不明点がある場合は、専門家に相談しながら準備を進めると安心です。

「令第3条に規定する使用人」とはどういった人のことでしょうか?また、どういった場合に配置する必要があるのでしょうか?

建設業者が「主たる営業所」以外に設置している支店などを「従たる営業所」と呼びます。建設業許可を取得している、またはこれから取得しようとしている建設業者がこの「従たる営業所」を設置している場合、大臣許可・知事許可を問わず、その営業所に 建設業法施行令第3条に規定する使用人(通称「令3条使用人」) を配置する必要があります。


令第3条に規定する使用人とは?

令3条の使用人とは、建設工事の請負契約の締結およびその履行において、一定の権限を持つと判断される者を指します。具体的には、次のような人が該当します。

  • 従たる営業所(支店)の代表者
  • 支店長
  • 営業所長

令3条の使用人を配置する必要がある場合

「従たる営業所」を設置している場合に配置が義務付けられています。この要件は、大臣許可(複数都道府県に営業所がある場合)でも知事許可(1都道府県内のみ)でも共通です。


令3条の使用人となるための要件

令3条の使用人として認められるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 代表者からの権限委任
    • 建設工事の請負契約の締結およびその履行について、代表者から権限を委任されていること。
  2. 営業所に常勤していること
    • 当該営業所に常勤し、日常的な業務を行っていること。
  3. 欠格事由に該当しないこと
    • 建設業法で定められた欠格事由に該当しないこと(例:禁錮以上の刑を受けて5年を経過していない、成年被後見人に該当しないなど)。

注意点

令3条の使用人を配置しない場合や条件を満たさない場合、建設業許可の取得が難しくなるほか、法的な問題が発生する可能性があります。従たる営業所を設置する場合は、事前に要件を確認し、適切な人物を選任することが重要です。

申請の際、建設業を営む最低限の設備などを備えているかを確認するための資料として事業所の写真の提出が必要なようですが、どういった写真を提出すれば良いのでしょうか?

建設業許可の申請時には、営業所が建設業を営むための最低限の設備を備えていることを写真で証明する必要があります。この写真は、指定された A4サイズの「営業所写真貼り付け用紙」 にカラーで貼付し、撮影年月日を記載します。1枚あたり4枚程度の写真を貼付できるサイズを目安に準備してください。


提出する写真の具体例

  1. 建物の外観(全景)
    • 建物全体が写るよう、1階から屋上までを含めた写真を撮影します。
    • 建物の入口付近や正面の写真も併せて撮影します。
    • テナント表示されたプレートや、会社名が判読できるポスト、集合郵便受けも撮影します(テナント表示がない場合)。
  2. 事務所の入口
    • 会社名が掲示された事務所の入口部分を撮影します。
    • 従たる営業所の場合は、会社名だけでなく営業所名も写った写真が必要です。
  3. 事務所の内部
    • ブラインドやカーテンを開けた状態で撮影し、事務所内部の概要が分かるようにします。
    • 複数方向から撮影し、事務スペースや応接スペースが確認できる写真を用意します。

注意事項

  • カラー写真: 写真はすべてカラーで撮影してください。
  • 解像度: 文字や建物名などがはっきりと確認できる解像度で撮影します。
  • 整理: 撮影した写真は指定の用紙にきちんと整理し、提出前に撮影日時を記載します。
  • 撮影環境: 事務所内部は明るい状態で撮影し、必要な設備やスペースが明確に分かるように工夫します。

営業所が申請要件を満たしていることを明確に伝えるため、提出写真は慎重に準備してください。不明点があれば、専門家や申請窓口に相談すると安心です。

法改正により、「適切な保険」に加入していないと建設業許可を取得することが出来なくなったと聞きました。何が適切な保険で、どうやって加入していることを証明するのでしょうか。

令和2年10月1日以降の建設業許可申請(更新を含む)では、”適切な保険”に加入していない場合、建設業許可を取得できなくなりました。この”適切な保険”とは、法的に加入が義務付けられている社会保険を指します。


適切な保険とは?

次の保険が加入義務のある社会保険に該当します。

  1. 厚生年金
  2. 健康保険
  3. 雇用保険
  4. 労災保険

加入義務の対象となるのは、以下のような事業所です。

  • 法人の事業所。
  • 個人経営で、家族従業員を除く常時5人以上の労働者を雇用している事業所。
  • 雇用保険については、同居の親族のみで構成される事業所を除き、労働者を1人でも雇用する事業所が対象。

加入していることの証明方法

  1. 厚生年金・健康保険
    • 窓口納付の場合:領収日付印がある納入告知書(納付書)または領収証書の写しを提出。
    • 口座振替の場合:保険料納入告知額・領収済額通知書の写しを提出。
    • 上記書類がない場合:発行日から3か月以内の「社会保険料納入確認書」を年金事務所に申請して取得し、添付。
  2. 雇用保険
    • 「労働保険概算・確定保険料申告書」の写し。
    • 「領収済通知書」の写し。
  3. 労災保険
    • 雇用保険と同様に「労働保険概算・確定保険料申告書」および「領収済通知書」の写しで証明。

注意事項

  • 書類の有効期限: 提出する書類は、発行日から3か月以内のものが必要です。
  • 加入義務の確認: 自社が加入義務の対象であるかを事前に確認してください。義務を怠っている場合、許可申請が受理されません。
  • 未加入の場合の対応: 社会保険や労働保険に未加入の場合は、速やかに所轄の年金事務所や労働基準監督署に相談し、加入手続きを行う必要があります。

適切な保険に加入し、その証明書類を提出することは、建設業許可の要件を満たすために欠かせないステップです。 必要書類を早めに準備し、不明点があれば専門家や所轄機関に相談することをお勧めします。

その他のご質問

「建築一式工事業」の許可を取得すれば、建築系工事であればどんな工事も請け負えますか?

「建築一式工事業」という言葉から、すべての建築系工事を請け負えると誤解されることがあります。しかし、実際には「建築一式工事業」は、建築確認が必要な新築や増改築工事を総合的に企画・指導・調整しながら建築物を建設する工事を指します。

具体例として、元請業者が建築確認が必要な一定規模の新築工事を下請業者に個別の専門工事として発注し、自身は工事全体の総合的な企画・指導・調整を行うケースが該当します。したがって、「建築一式工事業」の許可は、あくまで工事全体を管理する業務に関連するものであり、個別の専門工事を単独で請け負うことを許可するものではありません。

もし該当する専門工事の許可を取得していない場合には、500万円以上(建築一式工事の場合は1,500万円以上)の専門工事を単独で請け負うことはできません。この点は「土木一式工事業」においても同様の扱いとなります。


注意事項

  1. 許可の範囲: 「建築一式工事業」の許可があっても、専門工事を単独で請け負うにはその専門工事の許可が必要です。
  2. 工事の金額基準: 許可なしで請け負える工事は500万円未満(建築一式工事の場合は1,500万円未満)までとなります。

建築一式工事業の許可範囲を正しく理解し、必要に応じて専門工事の許可を取得することで、法令遵守のもとで業務を行うことができます。不明点があれば専門家に相談してください。

現在は自宅の一部を事務所として使用しています。このままでも建設業許可を取得することはできますか?

建設業許可を取得するためには、事務所が建設業を営む基準を満たしている必要があります。自宅の一部を事務所として使用する場合でも許可の取得は可能ですが、以下の条件を満たしていることが求められます。


建設業許可を取得するための事務所の要件

  1. 必要な設備の備え付け
    • 事務用机や固定電話が設置されていること。
    • プリンター・FAX・コピー機などのOA機器が備わっていること。
  2. 独立性の確保
    • 他の業者や居住部分から独立性が保たれていること。
    • 居住部分を通らずに事務所にたどり着ける構造であること(玄関や廊下、階段だけを通る動線が必要)。
  3. 表示の明確化
    • 入口や郵便受けに商号や営業所名が表示されていること。
  4. 使用権原の明示
    • 自己所有の場合:所有権を証明できる書類(登記簿謄本など)。
    • 賃貸の場合:賃貸借契約書の使用目的が「事業用」となっていること。
  5. 居住部分と事務室の明確な区分
    • 事務室が居住部分と物理的に分離されていることが必要です。ドアや壁などで明確に区切られていることが求められます。

注意点

  • 居住部分と事務所が曖昧な場合や、居住部分を通過しなければ事務所に行けない場合は、許可が下りない可能性があります。
  • 許可申請時には、事務所の写真や賃貸借契約書などを添付して、要件を満たしていることを証明する必要があります。

自宅を事務所として利用する場合でも、事前に基準を満たすよう準備を行えば建設業許可を取得することが可能です。疑問点があれば、専門家や申請窓口に相談することをお勧めします。

個人事業主として建設業許可を取得し事業活動をしていましたが、この度法人化することになりました。この場合には今取得している建設業許可はまた一から取り直さなくてはならないのでしょうか?

以前は、個人事業主として取得した建設業許可を法人化後に引き継ぐことはできず、新規に建設業許可を取得し直す必要がありました。これは、法人が「法律によって人と同じ権利や義務を認められた組織」であり、法的には個人事業主と新規設立した法人が別人として扱われるためです。

しかし、建設業法の改正により、2020年10月からは個人事業主が法人化(いわゆる「法人なり」)した場合でも、建設業許可を引き継ぐことが可能になりました。この改正により、個人事業主の建設業許可は「事業譲渡による建設業許可の承継」という手続きで新たに設立した法人に引き継ぐことができます。


建設業許可を承継する条件

建設業許可の承継を行うためには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 同一の事業を引き継ぐこと
    • 個人事業主が営んでいた建設業の内容を、法人でも引き続き行うこと。
  2. 事業譲渡の完了
    • 個人事業主から法人への事業譲渡が適切に行われていることを証明する書類を提出する必要があります。
  3. 欠格要件を満たしていること
    • 法人が建設業法の欠格要件に該当しないこと。

注意事項

  • 事業譲渡による承継の手続き
    • 承継手続きには、個人事業主の許可情報や法人の設立情報をもとにした書類を提出する必要があります。
  • タイミングの確認
    • 個人事業主の建設業許可が有効な期間内に手続きを行う必要があります。期限を過ぎた場合、改めて新規申請が必要となるため注意が必要です。

法改正により、法人化後も建設業許可を引き継ぐことが可能となりました。手続きが複雑な場合は、専門家や行政書士に相談しながら進めることをお勧めします。

更新申請と同時に新たに許可業種を複数追加しようと考えています。その場合、東京都に支払う手数料はどうなりますか?

建設業許可の申請手数料は、「申請する区分の数」に応じて決まります。区分は以下のように分かれています。

  1. 知事許可と大臣許可
  2. 新規、許可がえ新規、般・特新規、業種の追加、更新

具体例

更新申請と同時に新たに3業種の追加許可申請を行う場合、手数料は次の通りです。

  • 更新手数料: 5万円
  • 業種追加手数料: 5万円(業種が複数でも1回の申請として扱われるため5万円のみ)

したがって、支払う手数料の合計は 10万円 になります。


注意事項

  1. 業種追加の手数料
    • 業種追加は「区分」として1回の申請扱いとなるため、同時に複数業種を申請しても手数料は5万円のみです。
  2. 般・特新規の区分について
    • 「般・特新規」は表記上1つの区分に見えますが、実際には一般建設業許可と特定建設業許可がそれぞれ別区分として扱われます。同一業種で一般と特定を同時に取得することはできませんが、異なる業種で一般と特定の許可を更新する場合は次のように計算します。
      • 一般建設業許可の更新手数料:5万円
      • 特定建設業許可の更新手数料:5万円
      • 合計:10万円
  3. 大臣許可の場合
    • 大臣許可の手数料も知事許可と同様に「区分の数」で計算されます。ただし、大臣許可の場合は手数料の支払いは東京都ではなく、国(収入印紙)に対して行います。

まとめ

更新申請と同時に複数の業種追加を行う場合、手数料は区分ごとに計算されます。同時申請であれば、業種追加の手数料は1回分として5万円で済むため、計算の際は「区分の数」を基準に考えることが重要です。不明点があれば申請窓口に事前確認を行うと安心です。

建設業許可の申請をして現在審査中ですが、申請書に記載した専任技術者が退職してしまい、状況が変わったためやはり許可申請は取り下げようかと思います。支払った手数料はどうなりますか?

支払った手数料が返還されるかどうかは、知事許可大臣許可の場合で取り扱いが異なります。以下に詳しく説明します。


知事許可の場合

知事許可において支払った手数料は、「手続きに対する報酬」として扱われます。一度申請が受理され、審査が開始された場合、申請を取り下げても手数料の返還は行われません。


大臣許可の場合

大臣許可において支払うのは、「登録免許税」です。登録免許税は、申請が取り下げられた場合に返還されることが法律で定められています。そのため、大臣許可の場合は、申請を取り下げた際に支払った手数料(登録免許税)を返還してもらうことが可能です。


注意事項

  1. 返還手続きの確認
    • 大臣許可の場合、手数料返還を受けるためには、必要な書類を揃えて返還手続きを行う必要があります。申請窓口や担当機関に事前に確認することをお勧めします。
  2. 審査の進行状況に応じた対応
    • 専任技術者が退職した場合でも、新たに条件を満たす方を早急に選任することで申請を進める選択肢もあります。許可が取り下げられた場合、再申請時には再び手数料が発生するため、取り下げる前に専門家に相談すると良いでしょう。

まとめ

  • 知事許可: 申請を取り下げても手数料は返還されません。
  • 大臣許可: 登録免許税は返還されますが、別途手続きが必要です。

申請状況や将来の計画を考慮し、最適な判断をしてください。不明点があれば専門家や申請窓口に相談することをお勧めします

決算変更届は更新の時に5年分まとめて提出してもかまいませんか?

決算変更届は、事業年度が終了した後 4カ月以内 に提出することが建設業法で義務付けられています。このため、5年分をまとめて提出することは認められておらず、以下のような問題が生じる可能性があります。


まとめて提出する場合のリスク

  1. 行政指導や処分の対象になる
    • 毎年の決算変更届を提出しない場合、建設業課の担当官から行政指導を受けます。
    • 長期間改善されない場合には、1年以内の営業停止処分や、最終的には許可取り消しが行われることも法律上可能です。
  2. 更新申請や業種追加申請が受理されない
    • 直前の事業年度分の決算変更届が未提出の場合、更新申請や業種追加申請は受け付けてもらえません。
  3. 様式や要件の変更への対応が難しくなる
    • 法改正により決算変更届の様式や提出要件が変わることがあります。決算の時期によって異なる様式が必要になる場合もあり、複数年分をまとめて作成することはかえって手間と負担が増えることがあります。
  4. 建設業許可の失効リスク
    • 更新手続きがスムーズに進まない場合、許可が失効する危険性があります。

正確でタイムリーな提出を推奨

まとめて提出するメリットはほとんどなく、むしろリスクが高まります。そのため、 毎年、事業年度終了後4カ月以内に提出 することを強くお勧めします。

毎年の提出を怠らず、スケジュール管理を徹底することで、許可の維持と法令遵守が確実になります。 不明点があれば、専門家や行政書士に相談することをお勧めします。

弊社は東京都にあり、現在都知事許可を取得しています。東京都以外の現場での工事をご依頼をいただいたのですが、新規で大臣許可を取得する必要はありますか?

建設業許可は、建設業を営む 営業所の所在地 によって「知事許可」か「大臣許可」かが決まります。実際に工事を行う 現場の場所 は許可の種類には関係ありません。そのため、東京都内に営業所がある場合、現在の「都知事許可」のままで、東京都以外の現場で工事を行うことが可能です。


許可が必要なケース

  1. 東京都以外の現場で工事を行う場合
    • 現場の所在地は許可の種類に影響しないため、現在の知事許可で問題ありません。
  2. 東京都以外に営業所を設ける場合
    • 営業所が複数の都道府県に所在する場合、「知事許可」から「大臣許可」への変更が必要です。この場合、手続きは「許可換え新規」となります。

注意事項

  • 一般建設業と特定建設業の同時取得は不可
    • 同一の業種について、一般建設業と特定建設業の両方の許可を同時に取得することはできません。
  • 許可の更新時
    • 大臣許可への切り替えが必要な場合、更新手続きと同時に行うことで効率よく対応できます。

まとめ

  • 東京都内に営業所がある場合、都知事許可で東京都以外の現場で工事を行うことは可能です。
  • 新たに東京都以外に営業所を設ける場合は、大臣許可への「許可換え新規」手続きが必要になります。

不明点がある場合は、専門家や申請窓口に相談することで、スムーズに対応できます。

建設業許可通知書を紛失してしまいました。再発行することは可能ですか?

建設業許可通知書には、許可業者の名称、許可業種、許可の種類、許可番号、許可の有効期限などが記載されており、各種申請の際に写しの提出や提示を求められる重要な書類です。

しかし、この建設業許可通知書は、 再発行されません。法的には建設業許可通知書は、許可申請に対する「通知書」に過ぎず、再発行が行われないのはその性質上当然とも言えます。


紛失時の対処法

建設業許可通知書を紛失した場合には、代わりに「建設業許可証明書」を取得することができます。この証明書は、許可業者の名称や許可番号、許可業種、有効期限などを記載した正式な証明書で、通知書の代わりに使用可能です。

  • 交付請求先: 許可を取得した都道府県(知事許可)または国土交通省(大臣許可)。
  • 手数料: 1通あたり400円(都道府県により異なる場合があります)。

建設業許可証明書の活用

建設業許可証明書は、以下の場合に通知書の代わりとして使用できます:

  1. 各種申請や更新手続き
    • 許可申請や更新申請において、通知書の提示が必要な場合。
  2. 取引先への提示
    • 許可業者であることを取引先に証明する必要がある場合。

まとめ

  • 建設業許可通知書の再発行はできません
  • 紛失した場合は、「建設業許可証明書」を取得して代用可能です。

紛失に気づいたら早めに所轄窓口に相談し、必要書類を用意して建設業許可証明書を取得してください。

建設業許可の取得を考えています。複数の業種で申請しようと思うのですが、この場合の専任技術者は一人でも可能ですか?

専任技術者としての条件を満たしている場合、一人で複数の業種の専任技術者を兼務することは可能です。たとえば、以下のようなケースが該当します:


1. 条件を満たす場合

  • 資格による条件クリア
    一級建築士など、複数業種に対応できる資格をお持ちの場合、その資格に基づき複数の業種の専任技術者を兼務できます。
    • 一級建築士の場合、以下の業種で専任技術者となることが可能です:
      • 建築一式工事
      • 大工工事
      • タイル・れんが・ブロック工事
      • 鋼構造物工事
      • 内装仕上工事
  • 実務経験による条件クリア
    実務経験で条件を満たす場合も、複数業種で専任技術者になることは可能です。ただし、業種ごとに必要な経験年数が重複していないことが求められます。
    • 例: A業種で10年、B業種で5年の実務経験を証明する必要がある場合、それぞれ独立した経験が必要です。

2. 注意事項

  • 常勤性の要件
    専任技術者は常勤であることが求められるため、同一の営業所内で勤務している必要があります。他の営業所を兼務することはできません。
  • 同一業種の登録は1人のみ
    同一営業所内で同一業種に対して複数人の専任技術者を登録することはできません。一業種につき1人の専任技術者を登録する必要があります。
  • 資格取得の推奨
    実務経験による証明は、経験年数の証明が難しい場合があり、条件クリアが複雑になることがあります。そのため、国家資格を取得することで専任技術者の条件を満たす方法が推奨されます。

まとめ

  • 資格を持つ場合: 一人で複数業種の専任技術者になることが可能です。
  • 実務経験の場合: 条件クリアが難しい場合があるため、資格取得を推奨します。
  • 常勤性の要件: 同一営業所内での勤務が必要です。

不明点があれば専門家や行政書士に相談することで、スムーズに申請を進められます。

建設業許可の取得を考えています。営業所は本店のみです。従業員の数が多くはないので、経営業務の管理責任者と専任技術者の条件をクリアできるのが私しかいません。この状況でも建設業許可の取得はできますか?

はい、建設業許可の取得は可能です。 経営業務の管理責任者と専任技術者を同一人物が兼任することは認められています。ただし、以下の条件を満たす必要があります。


1. 同一営業所内での常勤性

  • 経営業務の管理責任者と専任技術者の両方とも「常勤」であることが求められるため、同一営業所内で勤務していることが条件です。
  • 営業所を離れて現場に出ることは、原則として認められていません。

2. 現場対応の考慮

  • 主任技術者または監理技術者の配置
    建設業許可を取得した後、現場には主任技術者や、工事規模によっては監理技術者を配置する義務があります。経営業務の管理責任者および専任技術者が現場に出ることができないため、現場対応を行う技術者を別途確保する必要があります。
  • 特例措置
    小規模工事や特定の条件を満たす場合には、専任技術者が現場に出ることが認められる特例があります。ただし、事前に条件や手続きを確認する必要があります。

3. 兼務のメリット

  • 従業員数が少ない場合、経営業務の管理責任者と専任技術者を兼務することで、営業所内での管理業務を効率化できます。
  • 新たに専任技術者を雇用する負担を軽減できる点も大きなメリットです。

注意事項

  • 経営業務の管理責任者や専任技術者としての条件をクリアしていることが大前提です(経営業務の管理責任者としての経験年数や、専任技術者の資格または実務経験の証明が必要)。
  • 現場対応のための人員確保が難しい場合は、専門家に相談して申請計画を立てることをお勧めします。

まとめ 経営業務の管理責任者と専任技術者の兼任は認められており、本店のみの営業所であっても建設業許可を取得することは可能です。許可取得後は現場対応の体制を整えることが重要となります。不明点があれば、専門家や申請窓口に相談するとスムーズに進められます。